練習を数日に分けた小学生は、1週間後もよく覚えていました。ただし、計算では研究が割れています。

LEARNING PM PRELUDE ── 12

練習を数日に分けた小学生は、
1週間後もよく覚えていました。
ただし、計算では研究が割れています。

計算の練習や復習を、1日にまとめてやるか、何日かに分けるか。小学生を対象にした研究を、分かっていることと、研究が割れていることに分けて並べました。2026年10月までに出た研究まで見ています。

年中から小学校4年生くらいのお子さんがいるご家庭に向けて書いています。

先に結論です
  • 同じ時間の練習を数日に分けると、1日にまとめたときより、1週間後のテストの点が高くなりました(小学1・2年生の理科、小学3年生の言葉)
  • 練習している最中の出来が同じでも、差は1週間後に出ました
  • 計算で、日を分けて比べた研究は少なく、結果も割れています。小学3年生のかけ算では、1週間後にあった差が、6週間後には見られませんでした
  • 私の授業では、前に習ったところを次の授業の冒頭で聞き直し、1週間後に思い出せるかを確かめています
目次

「分けて練習する」とは

ここでの「分けて練習する」は、練習の合計の時間を同じにして、やる日を分けることです。

たとえば、20分の練習を1日でやるか、5分ずつ4日に分けてやるか、という比べ方です。変えるのは、時間の配り方だけです。

合計20分の練習の、2つの配り方
変えるのは、時間の配り方だけ

研究では、1日にまとめるやり方を「集中学習」、日を分けるやり方を「分散学習」と呼びます。

小学1・2年生の理科:1日にまとめるか、4日に分けるか

アメリカの研究チームが、小学1・2年生36人に、「食物連鎖」の短い授業(1回5分ほど)を4回受けてもらいました。授業の合計の時間は同じで、受け方を3つに分けています。

  • 1日に4回まとめて受ける
  • 2日に2回ずつ受ける
  • 4日に1回ずつ受ける

1週間後のテスト(4点満点)で、習ったことを新しい例に当てはめる問題(難しいほう)の平均点は、次のとおりでした。

1週間後のテストの平均点(4点満点)
習ったことを新しい例に当てはめる問題。小学1・2年生、1グループ12人

同じ学校で行った別の研究でも、4日に分けた子の点がいちばん高くなっています。どちらも1グループ12人の研究で、テストは1週間後の1回です。

この章の出典 Vlach & Sandhofer(2012)/Gluckman, Vlach & Sandhofer(2014)

小学3年生の言葉:練習中は同じでも、1週間後に差が出た

オランダの小学3年生33人が、知らない言葉30個を覚える練習をしました。同じ子どもが、半分の言葉は3日に分けて1回ずつ、残りの半分は1日に3回続けて練習しています。

覚えていた言葉の割合
小学3年生33人。同じ子どもが、2つのやり方で半分ずつ練習
練習中1週間後およそ5週間後
3日に分けた言葉87%56%49%
1日にまとめた言葉87%46%42%

練習しているときの出来は、どちらも87%でした。差が出たのは、1週間後と5週間後のテストです。

イギリスの11〜12歳が数学の問題を練習した研究(2021年)では、1日にまとめて練習した生徒は、4週間後のテストの自分の点を、実際より高く見積もっていました。日を分けて練習した生徒の見積もりは、実際の点に近いものでした。

この章の出典 Goossens ほか(2012)/Emeny, Hartwig & Rohrer(2021)

計算では、研究が割れている

計算で、日を分ける練習と1日にまとめる練習を比べた研究は、小学生ではまだ少ししかありません。小学1・2年生の計算で日を分けて比べた研究は、今回の調べでは見つかりませんでした。

計算で比べた研究
○ 分けたほうが良かった △ 差がなかった・まとめたほうが良かった
小学3年生のかけ算
2019年・ドイツ 1日に45分 と 15分ずつ3日
○1週間後:分けた子のほうが良い
△6週間後:差がなかった
ひき算(1日の中で分ける)
2026年・アメリカの学校(学年は要旨に記載なし)
○簡単なひき算:分けたほうが良い
△2けた同士:まとめたほうが良いか、差なし
手順の多い算数の問題
2025年・小学生61人
○効果が出たのは、最初の練習で中くらいにできた子だけ
算数・数学の研究のまとめ
2025年・いちばん若くて9歳前後(低学年は入っていない)
○全体として、小さめに良い結果

いろいろな科目の、教室で行った研究をまとめた2025年の分析では、全体では分けて練習するほうが良い結果でした。学校の段階で分けて見ると、まとめたほうが良い結果や差が出なかった結果がいちばん多かったのは、小学校の研究でした。この分析に入った研究で、テストがいちばん遅かったのは42日後です。

この章の出典 Barzagar Nazari & Ebersbach(2019)/DeFouw ほか(2026)/Ruitenburg ほか(2025)/Murray, Horner & Göbel(2025)/Mawson & Kang(2025)

食い違って見えるところと、その理由

1

実験では分けたほうが良いのに、小学校の教室では差が出にくい

なぜ小学校の教室で差が出にくいのかは、まだ分かっていません。

2

1週間後にあった差が、6週間後には消える

かけ算の研究チームは、あいだの授業で関係のある内容を習ったことが、差を小さくしたのかもしれない、と書いています。

前に習った問題を混ぜて1年間練習した研究(ナイジェリアの小学5年生、査読前の報告)でも、学期ごとのテストでは点が上がり、学年の終わりのテストでは差がほとんどなくなっていました。

分けて練習した効果が何か月も続くことを確かめた研究は、今回の調べでは見つかりませんでした。

3

簡単な計算では分けたほうが良く、難しい計算では差が出ないこともある

習い始めで、まだあまり解けないころは、日を分けても効果が出にくい、という研究があります。中くらいにできた子にだけ効いた研究も、この見方と合います。

4

1日と4日、1週間と2週間では、差がなかった

長くあけたほうが良い、という結果は出ていません。

研究をまとめた本の章では、いちばん良い間のあけ方は、どれくらい長く覚えておく必要があるかで変わり、はっきりした答えはまだない、とされています。大人の研究から出た「テストまでの日数の1〜2割あける」という目安を、子どもで確かめた研究も見つかりませんでした。

この章の出典 Barzagar Nazari & Ebersbach(2019)/Kremer ほか(2026改訂)/Carpenter, Pan & Butler(2022)/Ruitenburg ほか(2025)/Goossens ほか(2016)/Franzoi ほか(2025)/Wiseheart ほか(2019)

3歳でも、数十秒の間をあけると覚えやすくなる

  • 3歳の子が新しい物の名前を覚える実験で、続けて見せるより、30秒ほど遊んでからもう一度見せたほうが、よく覚えていました
  • 年中くらい・小学1年生・小学3年生で比べた実験では、間をあける効果の大きさに、学年による違いは見られませんでした
3歳の子の実験:同じ物を、同じ回数見せる
よく覚えていたのは、あいだに遊ぶ時間をはさんだほう
テストは数分後。間は数秒〜数十秒の実験です。

これらは、間が数秒〜数十秒の実験です(テストは数分後〜3週間後)。日をあけた練習とは、分けて考えます。

イギリスの教育の研究機関(EEF)が2021年にまとめた報告で取り上げた、日を分ける練習の研究では、いちばん年下は小学1年生の2つの小さな研究でした。

この章の出典 Vlach, Sandhofer & Kornell(2008)/Toppino, Kasserman & Mracek(1991)/Perry ほか(2021)
私の場合

私の授業でしていること

ここからは私の話です

前に習ったところは、次の授業の冒頭で聞き直しています。

授業はふだん週1回です。1週間のうちに授業が2回あるときも、聞き直すのは1週間あけてからにしています。

聞き直して確認を通らなかったところは、間を少しずつのばしながら、何度か戻ります。授業のあとには、その日のやり取りを思い出せる形のノートを渡しています。

授業と授業のあいだに何回復習するかは、子どもに任せています。1回で覚えてしまう子もいれば、毎日やり直す子もいるからです。

読み返すより、思い出す作業をしているときのほうが、頭に入ると考えています。

次の日に聞くと、しっかり覚えていたのか、たまたま頭に残っていただけなのか、見分けがつきません。1週間あけて、次の授業の冒頭で答えられるようにしておけば、そのあいだに少なくとも1回は、本気で思い出す作業をすることになります。

前に習ったところを、聞き直す流れ
授業はふだん週1回
授業新しいところを習うあとで、その日のやり取りを思い出せるノートを渡す
1週間授業と授業のあいだ復習の回数は、子どもに任せる
次の授業の冒頭前に習ったところを聞き直す
確認を通らなかったところは
間を少しずつのばしながら、何度か戻る

※私が見ているのは小学5年生からの生徒です。ここは私個人の経験によるものです。

聞き直しのやり方は、こちらに書いています 前はできていたのに、また同じところで間違える。
照らし合わせると

データと、私の見聞きを照らし合わせる

○一致すること

  • 次の日の出来では見分けがつかない、という点:練習中は87%と87%で同じでも、1週間後には56%と46%に分かれていました。1日にまとめて練習した生徒は、自分の点を実際より高く見積もっていました
  • 思い出す作業のほうが頭に残る、という点:イタリアの小学5年生が歴史を学んだ研究(2025年)では、思い出すテストで練習した内容のほうが、読み直した内容より、1週間後のテストで多く覚えていました(67.7%と41.3%)。小学4年生が言葉を覚えた実験でも、同じ日のテストで、思い出す練習をしたほうが多く覚えていました(55%と44%)
  • 何回復習するかが子どもによって違う、という点:最初の練習で中くらいにできた子にだけ効果が出た研究と合います。どこまで分かっているかで効き方が変わる、という点は、「『うちの子は目で覚えるタイプ』に、根拠はありませんでした。」に書いたこととつながります
1週間後のテストで覚えていた割合
イタリアの小学5年生、歴史(2025年)
67.7%思い出す練習をした内容
41.3%読み直した内容

△ずれること

  • 小学2〜6年生が教室で言葉を学んだ研究(2016年)では、思い出す練習の効果ははっきりしませんでした。2〜5歳の子が絵本で言葉を覚えた研究(2023年)でも、効果は見られませんでした。5〜6歳の研究(2025年)では、何回か学んで思い出せるようになってから、効果が出ていました。年齢が低い子では、思い出す練習がそのまま効くとは言い切れません
  • 「1週間」がいちばん良い間かどうかは、研究では決まっていません

?確かめられないこと

  • 私の授業での聞き直しが、何か月も先の成績にどれくらい効いているかは、比べる相手がいないので分かりません
  • 年中から小学校低学年の計算で、日を分ける練習が効くかどうかは、研究が見つかっていません
この章の出典 Goossens ほか(2012)/Emeny, Hartwig & Rohrer(2021)/Franzoi ほか(2025)/Karpicke, Blunt & Smith(2016)/Ruitenburg ほか(2025)/Goossens ほか(2016)/Knabe, Bredemann & Vlach(2023)/Káldi, Szőllősi & Racsmány(2025)
私の考え

それでも私は、1週間後に思い出す日を決めておくことが大事だと考えています

研究は割れていて、何日あけるのがいちばん良いかも決まっていません。

それでも、「次の授業の冒頭で、答えられるようにしておく」という決まりが1つあれば、子どもは少なくとも1回、自分で思い出す作業をします。

授業のあいだの復習で、私が決めているのは「いつ確かめるか」の日です。何回復習するかは、その子に合わせてかまいません。

お子さんの様子と、ここに並べたデータが違うと感じたら、知らせてもらえるとありがたいです。

で、どうしますか

家で、明日からできること3つ

1. だいたい解けるようになった計算は、復習を2〜3日に分ける

合計の時間は変えなくてかまいません。週末にまとめてやるぶんを、平日の数日に配ります。

習い始めで、まだあまり解けない計算は、分けても効果が出にくいことがあります。

2. 次の日は思い出す練習、1週間後は確かめの日にする

次の日の最初に、前の日の問題を口で1つ聞いてみてください。これは思い出す練習です。

身についたかを確かめるのは、1週間後に、何も見ずにもう一度解く日です。

次の日は思い出す練習、1週間後は確かめの日

小学生の計算ドリル帳では、5日分以上で作ると、前にやった種類の計算が、新しい数字で「まとめの日」にもう一度出てきます。

3. その日の出来で、身についたかどうかを決めない

1日にまとめてやった直後は、本人が「できた」と思いやすくなります。1週間後の出来で確かめてください。

小学生の計算プリント 押すたびに新しい問題ができます
小学生の計算と文章題(様子からえらぶ) お子さんの様子から選んで、1枚作れます
この記事で分かったこと
  • 同じ時間の練習を数日に分けると、1週間後のテストの点が高くなった。小学1・2年生の理科と、小学3年生の言葉の研究です。
  • 練習中の出来が同じでも、差は1週間後に出た。その日の出来だけでは、身についたかどうかは分かりません。
  • 計算では、研究が少なく、結果も割れている。1週間後にあった差が、6週間後には見られなかった研究もあります。
  • 私の授業では、1週間あけて、次の授業の冒頭で聞き直しています。何回復習するかは、その子に合わせます。

小学5年生から先のこと

小学5年生から高校3年生までは、ラーニングPM で見ています。ここで書いているのは、その手前の時間の話です。中学3年生まで見てきたからこそ、もっと前に何があったのかが気になっています。

この記事で参照したもの
  • Vlach, H. A., & Sandhofer, C. M. (2012). Distributing learning over time: The spacing effect in children’s acquisition and generalization of science concepts. Child Development, 83(4), 1137–1144
  • Gluckman, M., Vlach, H. A., & Sandhofer, C. M. (2014). Spacing simultaneously promotes multiple forms of learning in children’s science curriculum. Applied Cognitive Psychology, 28(2), 266–273
  • Goossens, N. A. M. C., Camp, G., Verkoeijen, P. P. J. L., Tabbers, H. K., & Zwaan, R. A. (2012). Spreading the words: A spacing effect in vocabulary learning. Journal of Cognitive Psychology, 24(8), 965–971
  • Goossens, N. A. M. C., Camp, G., Verkoeijen, P. P. J. L., Tabbers, H. K., Bouwmeester, S., & Zwaan, R. A. (2016). Distributed practice and retrieval practice in primary school vocabulary learning: A multi-classroom study. Applied Cognitive Psychology, 30(5), 700–712
  • Emeny, W. G., Hartwig, M. K., & Rohrer, D. (2021). Spaced mathematics practice improves test scores and reduces overconfidence. Applied Cognitive Psychology, 35(4), 1082–1089
  • Barzagar Nazari, K., & Ebersbach, M. (2019). Distributing mathematical practice of third and seventh graders: Applicability of the spacing effect in the classroom. Applied Cognitive Psychology, 33(2), 288–298
  • DeFouw, E. R., Klingbeil, D. A., Codding, R. S., Latham, A., Pigg, H., & McCroskey, E. (2026). The impact of distributed practice schedules within a classwide computation intervention: A randomized control trial. Journal of School Psychology, 114, 101522
  • Ruitenburg, S. K., Guldemont, ほか (2025). Initial practice performance moderates the distributed practice effect in complex procedural knowledge. Applied Cognitive Psychology, 39(1), e70032
  • Murray, E., Horner, A. J., & Göbel, S. M. (2025). A meta-analytic review of the effectiveness of spacing and retrieval practice for mathematics learning. Educational Psychology Review
  • Mawson, R. D., & Kang, S. H. K. (2025). The distributed practice effect on classroom learning: A meta-analytic review of applied research. Behavioral Sciences, 15(6), 771
  • Kremer, M., Gray-Lobe, G., de Laat, J., & van der Haar, H. (2023, 2026改訂). A year of desirable difficulties: The impact of interleaving math practice in Nigeria. NBER Working Paper 31853(査読前)
  • Carpenter, S. K., Pan, S. C., & Butler, A. C. (2022). The science of effective learning with spacing and retrieval practice. Nature Reviews Psychology, 1, 496–511
  • Franzoi, L., Cembrani, V., Mulatti, C., & Treccani, B. (2025). Retrieval practice enhances learning in real primary school settings, whether distributed or not. Frontiers in Psychology, 16, 1632206
  • Wiseheart, M., Küpper-Tetzel, C. E., Weston, T., Kim, A. S. N., Kapler, I. V., & Foot-Seymour, V. (2019). Enhancing the quality of student learning using distributed practice. In J. Dunlosky & K. A. Rawson (Eds.), The Cambridge Handbook of Cognition and Education (pp. 550–584)
  • Karpicke, J. D., Blunt, J. R., & Smith, M. A. (2016). Retrieval-based learning: Positive effects of retrieval practice in elementary school children. Frontiers in Psychology, 7, 350
  • Knabe, M. L., Bredemann, C., & Vlach, H. A. (2023). A lack of retrieval practice effects in children’s recognition and recall memory of novel words during storybook reading. Frontiers in Developmental Psychology, 1, 1270938
  • Káldi, T., Szőllősi, Á., & Racsmány, M. (2025). Multiple practice success scaffolds long-term test-enhanced learning in preschoolers. Child Development, 96(6), 1934–1945
  • Vlach, H. A., Sandhofer, C. M., & Kornell, N. (2008). The spacing effect in children’s memory and category induction. Cognition, 109, 163–167
  • Toppino, T. C., Kasserman, J. E., & Mracek, W. A. (1991). The effect of spacing repetitions on the recognition memory of young children and adults. Journal of Experimental Child Psychology, 51, 123–138
  • Perry, T., ほか (2021). Cognitive science in the classroom: Evidence and practice review. Education Endowment Foundation
  • 「私の授業でしていること」「私の考え」は、私個人の経験によるものです
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