年中の子が遊ぶ相手は、この27年で
「友だち」から「お母さん」に入れ替わりました。
親の世代が小さかったころと、今。放課後を誰と、どこで過ごしているのかを、同じ質問を続けてきた調査で比べました。
年中から小学校4年生くらいのお子さんがいるご家庭に向けて書いています。
- 首都圏の幼児が、平日に園以外で一緒に遊ぶ相手。1995年は「友だち」56.3%、2022年は16.0%でした。「母親」は55.4%から86.9%に増えています
- 公園の遊具やおにごっこで遊ぶ子は、むしろ増えています。変わったのは、遊ぶ相手のほうです
- 小学校に上がると、学童保育に登録している子は、1998年の約22人に1人から、2025年は約4人に1人になりました
- 「自分が子どものころはこうだった」という物差しは、ここで一度ずれます。一度だけ、書き出して確かめてみてください
「自分のころ」を物差しにしていませんか
子どもの過ごし方を決めるとき、多くの人は自分の子ども時代を思い出します。「放課後は友だちと外で遊んでいた」「習い事は一つくらいだった」。私もそうです。
今、年中から小学4年生の子がいる親の多くは、1980年代の終わりから90年代に生まれています。その時代と今とで、子どもの放課後はどれくらい違うのか。同じ質問を27年間続けてきた調査があるので、並べてみました。
ひとつ先にお断りします。ここで使う幼児のデータは、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の、首都圏の家庭の数字です。地方のことは、後半で別のデータを使って書きます。
一緒に遊ぶ相手が、入れ替わりました
ベネッセ教育総合研究所の「幼児の生活アンケート」は、1995年から2022年まで6回、首都圏の1歳半から小学校入学前の子を持つ母親に、同じ形の質問をしています。そのうちの一つが「平日、幼稚園・保育園以外で遊ぶとき、誰と一緒のことが多いか」です。
- 母親(%)
- 友だち(%)
1995年は、母親と友だちがほぼ同じくらいでした。2022年には、母親が9割近く、友だちは6人に1人です。
コロナの影響だけではありません
2022年の調査はコロナ禍の最中なので、その影響は当然あります。ただ、友だちの比率はコロナ前の2015年の時点で、すでに27.6%まで下がっていました。
「保育園に通う子が増えたから」という見方もできます。そこで幼稚園に通う4歳以上の子だけに絞ると、2022年でも友だちと遊ぶのは25.7%でした。幼稚園の子に限っても、1995年の全体の56.3%から大きく下がっています。
外遊びは、むしろ増えています
「今の子は外で遊ばない」と聞くことがあります。同じ調査の「よくする遊び」を見ると、そうとも言えません。
| よくする遊び(複数回答) | 1995年 | 2022年 |
|---|---|---|
| 公園の遊具(すべり台、ブランコなど)を使った遊び | 66.0% | 85.8% |
| おにごっこ、缶けりなどの遊び | 14.0% | 31.2% |
| 石ころや木の枝など自然のものを使った遊び | 26.2% | 40.2% |
| 砂場などでのどろんこ遊び | 49.7% | 43.7% |
| 自転車、一輪車、三輪車などを使った遊び | 46.6% | 44.0% |
減っている遊びもありますが、公園の遊具やおにごっこは大きく増えています。外で遊ぶこと自体より、誰と遊ぶかが変わったと読むのが、データに近いと思います。
子どもの遊びの研究では、遊びに必要なものを「時間・空間・仲間」の三つに分けて考えることがあります。この調査で大きく動いたのは、そのうちの「仲間」です。
園にいる時間は、1時間半延びました
同じ調査では、園に通う子が家を出る時刻と帰る時刻も聞いています。
幼稚園と保育園を合わせた平均です。2022年の園で過ごす時間は、保育園・こども園の子が9.3時間、幼稚園の子が6.2時間とされています。
報告書は、家に帰る時刻が遅くなった理由の一つとして、働く母親が増え、延長保育や幼稚園の預かり保育が増えたことを挙げています。監修者のコメントでは、専業主婦は半数を切るようになったとされています。
そして報告書は、友だちと遊ぶ比率が下がった背景についても、共働きの増加で保育園児が増え、園にいる時間が長くなり、園以外で友だちと遊ぶ時間が減ったと見ています。これは報告書の見方で、因果を確かめたものではありません。ただ、上の数字の並びとは矛盾しません。
1990年ごろ、私の放課後
私は1985年生まれです。年中だったのは1990年ごろで、東京の社宅に住んでいました。社宅の敷地には公園がいくつもあって、小川が流れていました。
幼稚園は14時に終わります。家に帰って昼寝をするか、外に出て、小川で遊んだり、どろだんごを作ったり、虫を捕まえに行ったりしていました。母は専業主婦で、外遊びにも一緒に来てくれていたはずです。寝るのは20時より前だったと思います。
年中・年長のころの遊び相手は、両親でした。小学校に上がると、同じ社宅の仲のいい友だちと、敷地の中で遊ぶようになりました。学童保育には行っていません。家に帰れば母がいたからです。
習い事は、公文が年中から週2回、水泳が年長から、ピアノが小学1年生からで、どれも親が決めました。小学1年生から3年生までは、通信のプリント教材もやっていました。これは、社宅の知り合いのお母さんから教えてもらったそうです。
振り返ると、私の環境には、家を出ればすぐに遊ぶ場所と、同じ年ごろの子がいました。三つのうちの「空間」と「仲間」が、家の外に最初からそろっていたことになります。
もう一つ気づいたのは、習い事の情報の入り方です。同じ調査で、しつけや教育の情報源として「母親の友人・知人」を挙げた人は、2015年の72.0%から2022年の36.0%に減り、「SNS」は22.1%から49.8%に増えています。近所のお母さんから聞く、という経路そのものが細くなっています。
学童保育に通う子は、約4人に1人になりました
小学校に上がったあとの放課後で、いちばん大きく変わったのは学童保育(放課後児童クラブ)です。
1998年:登録児童数348,543人、小学生7,663,533人。2025年:登録児童数1,570,645人、小学生5,812,379人。2015年度から対象が「おおむね10歳未満」から小学6年生までと明確化されたため、2025年の数字には高学年の子も含まれます。
小学生の数はこの間に約4分の3に減っていますが、学童に登録している子は約4.5倍に増えました。2025年の登録児童のうち、小学1〜3年生が約78%を占めています。
入れなかった子(待機児童)は、小学4年生が最も多くなっています。2025年は全体の34.2%でした。理由までは調査に書かれていませんが、小4のあたりで放課後の居場所が変わりうる、ということは言えます。
土曜日も、違っていました
親の世代が小学生だったころは、土曜日にも授業がありました。学校週5日制は、1992年9月から月1回、1995年4月から月2回と段階的に広がり、2002年4月から完全に実施されています。今の子にとって、土曜日は最初から休みです。
地方では、共働きの家庭がさらに多くなります
ここまでの幼児のデータは、首都圏のものでした。地方ではどうか。国の研究機関である建築研究所が、2020年の国勢調査をもとに、共働きの子育て世帯を都道府県別に集計しています。
| いちばん上の子が6歳未満の家庭(2020年) | 大都市圏 | それ以外 |
|---|---|---|
| 夫婦とも正社員の共働き | 26.6% | 28.2% |
| 一方が正社員、もう一方がパートなどの共働き | 10.6% | 16.4% |
大都市圏は埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・愛知県・京都府・大阪府・兵庫県です(比率は、集計表の世帯数から私が計算しました)。夫婦とも正社員の共働きは、山形県と富山県で4割を超え、東北と北陸で共働きの割合が高いとされています。いちばん下の子が18歳未満の家庭で見ると、秋田県・山形県・新潟県・富山県・島根県の5県で、共働きが60%を超えていました。
この集計は、祖父母と同居していない家庭(夫婦と子どもだけの家庭)に限ったものです。それでも、地方のほうが共働きが多いことになります。
祖父母の手を借りる家庭
内閣府の「地域の経済2023」は、北陸や東北では三世代同居の割合が比較的高く、親の家事・育児のサポートが女性の仕事の継続を支えている可能性がある、と分析しています。都市部では三世代同居が少なく、親が離れた地方に住んでいることも多いため、そのサポートを得にくい、としています。
ただし、三世代で暮らす世帯そのものは、2000年の約353万世帯から2020年の約142万世帯へ、この20年で6割減っています。
私が見聞きしていること
ここからはデータではなく、私が地方で暮らしながら見聞きしていることです。
- 身の回りでは、共働きの家庭が圧倒的に多い
- 祖父母と一緒に暮らし、保育園の送り迎えは祖父母、両親はどちらも仕事、という家庭が少なくない
- 学童に通うのは、祖父母と同居していない家庭の子が中心。学童には行かず、帰ると祖父母だけがいる、という子もいる
- 保育園も学童も入るのが難しく、共働きでないとまず入れない。ある学年になると入りにくくなる仕組みもあると聞く
首都圏のデータで「母親」が担っていた放課後の相手を、地方では祖父母が担っている家庭もある、というのが私の実感です。ここは数字で確かめられていません。
- 27年間の比較は、首都圏の幼児のデータです。地方で同じ変化が起きているかは分かりません
- 「共働きが増えたから、友だちと遊ばなくなった」は、報告書の見方です。因果を確かめたデータではありません
- 「一緒に遊ぶ相手」は複数回答で、時間の長さは分かりません。友だちと遊ぶ時間がどれだけ減ったかは、この調査からは言えません
- 学童の割合は、対象の学年が広がる前と後の比較です。低学年だけで比べた数字は見つけられませんでした
- 私の話は、1985年生まれ、東京の社宅の一例です。指導で見てきた家庭も、オンラインの個別指導を選ぶ家庭に偏っています
そのうえで言えるのは、親の世代の放課後と今の放課後は、「誰と過ごすか」が大きく違うということです。
「自分のころ」と「今」を、一度並べて書いてみる
違うこと自体は、良いことでも悪いことでもありません。困るのは、違いに気づかないまま、自分の子ども時代を前提に決めてしまうことです。
一度だけ、次の表を埋めてみてください。左に自分が同じ年だったころ、右にお子さんの今を書きます。
| 自分が同じ年だったころ | 子どもの今 | |
|---|---|---|
| 放課後、主にいた場所 | 例:家の近くの公園 | |
| 一緒に過ごした相手 | 例:近所の友だち | |
| 家に帰ると、誰がいたか | 例:母 | |
| 習い事を知ったきっかけ | 例:近所のお母さん | |
| 土曜日の過ごし方 | 例:午前は学校 |
左と右で違う行があれば、そこは「自分のころはこうだった」が当てはまらない行です。その行に関わることを決めるときだけ、今の情報で確かめ直せば足ります。全部の行を見直す必要はありません。
私の場合、左の列はほとんどの行で右と違っていました。
- 首都圏の幼児が一緒に遊ぶ相手は、27年で「友だち」から「母親」に入れ替わった。友だちは56.3%から16.0%に、母親は55.4%から86.9%に。
- 外遊びそのものは減っていない。公園の遊具やおにごっこで遊ぶ子は増えている。
- 園にいる時間は1時間半延び、学童に登録する小学生は約22人に1人から約4人に1人に。待機児童は小4が最も多い。
- 地方は共働きがさらに多く、祖父母の手を借りる家庭もある。ただし三世代同居は減り続けている。
- 「自分のころ」と「今」を一度並べて書くと、確かめ直すべき行が見える。
小学5年生から先のこと
小学5年生から高校3年生までは、ラーニングPM で見ています。ここで書いているのは、その手前の時間の話です。中学3年生まで見てきたからこそ、もっと前に何があったのかが気になっています。
- ベネッセ教育総合研究所「第6回 幼児の生活アンケート」報告書(2023年)・ダイジェスト版。1995年・2000年・2005年・2010年・2015年・2022年の経年比較。首都圏の1歳6か月〜6歳就学前の幼児をもつ母親の回答(民間の調査)
- こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」(令和7年5月1日現在)
- 厚生労働省「放課後児童クラブ関連資料」(平成10年の登録児童数)
- 文部科学省「学校基本調査」(平成10年度の小学校児童数は平成20年度調査結果の概要に掲載の値、令和7年度は確定値)
- 中野卓・今野彬徳「共働き子育て世帯に関する全国・都道府県・市区町村別集計」建築研究資料 No.209(建築研究所、2023年)。令和2年国勢調査の調査票情報による特別集計。大都市圏とそれ以外の比率は、同資料の表の世帯数から筆者が計算
- 内閣府「地域の経済2023 ─地域における人手不足問題の現状と課題─」(2023年12月)
- 学校週5日制の実施時期は、樋口修資「学校週5日制下の土曜授業実施についての考察」(明星大学研究紀要 教育学部 第5号、2015年)によります
- 「私の場合」「私が見聞きしていること」は私個人の記憶と見聞きによるもので、統計的な裏付けはありません
