私立・国立の中学に通う子は、東京で4人に1人。
少ない県では、100人に2人もいませんでした。
中学受験をするかどうか。その前に、住んでいる場所で「中学受験」の意味そのものが違う、というところから並べてみました。
年中から小学校4年生くらいのお子さんがいるご家庭に向けて書いています。
- 私立・国立の中学に通う子は、中学生100人あたり東京都で27.52人、少ない山形県で1.57人。全国では8.87人です
- 同じ東京でも、公立小学校から都内の私立中学に進んだ子は、23区で25.00%、郡部で3.36%でした
- 大手の中学受験塾では、本格的な受験勉強が小学3年生の2月から始まります
- 私の考えは、住んでいる地域の選択肢で場合分けをして、ゴールから逆算することです
住んでいる場所で、割合が10倍以上違う
文部科学省の学校基本調査では、2025年度の全国の中学生は3,105,297人で、そのうち私立に通う子は249,161人でした。全国で見ると、およそ12人に1人です。
これを都道府県ごとに見ると、姿が大きく変わります。
国立と私立の生徒数の合計を、中学生全体の数で割っています。有名校に近県から通う子もいるため、それぞれの県の「受験熱」をそのまま表す数字ではありません。また、この調査の「中学校」には、義務教育学校と中等教育学校は含まれていません。国立の中学校が0人の県(福井・岐阜・島根)もあり、数え方を変えると順位が入れ替わることがあります。
全体として、首都圏と関西に多く、地方に少ない傾向があります。いちばん多い東京都といちばん少ない山形県では、17倍以上の差です。東京の私立だけで見ると2025年度は26.7%で、2018年の分析でも24.8%とされていました。
同じ東京の中でも、7倍違う
東京の中だけで見ても、差は大きくなります。東京都教育委員会の調査で、2023年3月に都内の公立小学校を卒業した子のうち、都内の私立中学に進んだ割合は次のとおりでした。
都外の中学校への進学は含んでいません。
「東京は中学受験が当たり前」と言われますが、当たり前なのは、選べる学校が近くにたくさんある場所です。同じ都内でも、郡部では30人に1人ほどでした。
周りも受けるのが、普通だった
私は1985年生まれで、東京で育ち、当時の四谷大塚に通って中学受験をしました。低学年のころに家で取り組んだ通信のプリント教材は、同じ社宅に住む知り合いのお母さんから教えてもらったものだったそうです。
小学4年生の塾は1日おきでした。5年生からは毎日になり、授業のない日も教室で自習をしていました。帰宅は夜の11時ごろ、寝るのは12時過ぎ。毎週日曜の午前はテストで、春・夏・冬の講習と、夏には山奥のロッジでの合宿もありました。
長男だったので、家にとっても初めての受験でした。そして当時の私は、その毎日を当たり前だと思っていました。上に比べる兄や姉がいなかったからです。
振り返ると、情報は近所の人づてに届き、東京には通える塾も、受けられる学校もたくさんありました。上の数字で言えば、私は「4人に1人」の側で育ったことになります。「受けるかどうか」を考える材料が、生活のすぐそばにあったのだと思います。
選べる私立中学が、1校しかない
いま私が暮らしている地域には、私立の中学校が1校しかありません。中学受験といっても、実際にはその1校を受けるか、公立に進むかの二択です。
ここからは、私がこの地域で見聞きしていることです。
- 地方では、私立の位置づけが都内と違います。高校で言えば、成績の高い子にとっては公立の併願先、公立が難しい子にとっては専願で受ける学校、という見られ方をしています
- 私立を選ぶのは、施設や環境の良さをお金で買う、という感覚に近いと感じます。経済的に余裕のある家庭が選ぶことが多い印象です
- 一方で、公立トップの高校から難関国公立を目指して苦労している生徒もいます。同じくらいの偏差値でも、難関国公立に向けたデータや対策の蓄積があり、入りやすい高校や中高一貫校もあります
公立の中高一貫校という選択肢もあります。文部科学省の2016年度の調査では、公立の中高一貫教育校は45都道府県に置かれていました。ただ、県内にあることと、家から通える距離にあることは別です。
高校の無償化で、位置づけが変わるかもしれない
2026年度から、高校の授業料の支援で所得制限がなくなり、私立高校に通う生徒には全国の授業料平均に相当する45.7万円が支給されるようになりました。私立との授業料の差が小さくなると、私立の見られ方も変わる可能性があります。
先に無償化を進めた都市部では、その動きがすでに出ています。大阪府では2024年度に私立高校の志望者が過去最高を更新し、公立高校145校のうち70校が定員割れになりました。東京都でも、全日制高校の志望者のうち都立を志望する割合が70%を下回り、過去最低になっています。
なお、この支援は高校の授業料が対象です。私立中学の授業料は含まれません。都内の私立中学の初年度納付金は、2026年度で平均1,048,034円でした。
本格的な受験勉強は、小学3年生の2月に始まる
大手の中学受験塾の四谷大塚は、公式サイトで、3年生の2月から本格的な中学受験の勉強が始まると案内しています。多くの塾で、この時期を「新4年生」と呼んでいます。人気の塾では、新4年生からでは入りにくくなっている、という塾関係者の指摘もあります。
首都圏では、中学受験をする子は民間の集計で5〜6人に1人の水準です。ある集計では2026年の受験者は52,050人、受験率は18.06%でした。別の塾は事前に5万5,000人を超えると見込んでいて、数え方によって数字が変わります。
年中から小学4年生の親にとって、小3の冬は、思っているより近い時期です。
データと、私の見聞きを照らし合わせる
一致すること
- 私立・国立の中学に通う子は、都市部に多く、地方に少ない。私の「地方では選択肢が少ない」という実感と、データの方向は同じです
- 高校の無償化で、私立に人が流れる動きは、都市部ではすでに起きています
ずれること
- 「難関国公立を目指すなら、私立や中高一貫校のほうが有利」とは、地域によって言い切れません。北海道の2026年の東大合格者は、公立の札幌南高校が19人で道内1位、私立の北嶺が9人で2位でした。地方では、公立トップ校が強い地域もあります
確かめられないこと
- 地方の私立高校が「併願先」「専願先」として見られている、という点は、私の見聞きです。これを数字で示した資料は見つけられていません
- 高校の無償化で、地方でも都市部と同じ動きが起きるかどうかは、まだ分かりません
- 都道府県別の数字は、義務教育学校と中等教育学校を含めていません。含めて数え直すと、順位が変わる可能性があります
それでも私は、場合分けをして、ゴールから逆算すると考えています
「中学受験をさせるべきか」には、ひとつの答えがないと思っています。住んでいる地域で、選べるものの数がまったく違うからです。私は、次の3つに分けて考えています。
どの場合でも、私立は公立より費用がかかります。だから最後に確かめたいのは、その支出に、子どもが満足するか。そして、お金を出す親が満足するかです。
そのうえで、私は「ゴールから逆算して決める」ことをおすすめしたいと思っています。大学受験はずいぶん先の話で、今から考えるのは難しい。それでも、小学3年生の冬に塾が本格的に始まることを考えると、受験はもう始まっている、という認識でいたほうがいいと私は考えています。
近くの学校を、1校だけ調べてみる
全部を今決める必要はありません。まずは、自分の地域が上の3つのどれに当たるかを考えて、通える範囲の私立か中高一貫校を1校だけ調べてみてください。
進学実績を見るときは、数字の出し方に注意が必要です。
調べたうえで「受けない」と決めるのも、立派な判断です。大事なのは、知らないまま小3の冬を迎えないことだと思っています。
- 私立・国立の中学に通う子は、東京で4人に1人、少ない県では100人に2人未満。全国では12人に1人ほどです。
- 同じ東京でも、23区と郡部で7倍の差がある。「当たり前」なのは、選べる学校が近くに多い場所です。
- 本格的な受験勉強は、小学3年生の2月から。年中〜小4の親にとって、決める時期は近いです。
- 高校の無償化で、私立の位置づけが変わるかもしれない。ただし私立中学の授業料は対象外です。
- 私の考えは、地域の選択肢で場合分けをして、ゴールから逆算すること。まずは近くの1校を調べるところからです。
小学5年生から先のこと
小学5年生から高校3年生までは、ラーニングPM で見ています。ここで書いているのは、その手前の時間の話です。中学3年生まで見てきたからこそ、もっと前に何があったのかが気になっています。
- 文部科学省「令和7年度学校基本統計(学校基本調査の結果)確定値」(2025年12月26日)
- 文部科学省「学校基本調査 令和7年度 中学校 都道府県別 学級編制方式別生徒数」(政府統計の総合窓口 e-Stat、2025年12月26日公開。国立・私立・計から計算)
- 舞田敏彦「東京23区の国立・私立中学の生徒」ニューズウィーク日本版(学校基本調査2018年の分析)
- 東京都教育委員会「令和5年度公立学校統計調査報告書」(幻冬舎ゴールドオンラインの記事による)
- 東京都生活文化局「令和8年度 東京都内私立中学校の学費の状況について」(2025年12月18日)
- 文部科学省「三党合意に基づく令和8年度以降の高校教育等の振興方策について」(第153回初等中等教育分科会資料、2026年1月26日)
- 文部科学省「高等学校教育の改革に関する推進状況(平成28年度版)」(2017年4月7日)
- 大阪府の高校志望動向はAll About、東京都の都立高校志望率はダイヤモンド・オンラインの記事による
- 四谷大塚 公式サイト「新4年生予習シリーズ準備講座」
- 首都圏の中学受験者数:首都圏模試センターの集計(HugKumの記事による)、四谷大塚の見通し(リセマムの記事による)。いずれも民間の集計です
- 北海道新聞「道新受験情報」東京大学合格者の道内高校別ランキング(2026年)
- 「私の場合」「私が見聞きしていること」「私の考え」は、私個人の経験と見聞きによるものです
