住んでいる場所で、習い事にかけている額が1.9倍違いました。

LEARNING PM PRELUDE ── 01

住んでいる場所で、
習い事にかけている額が1.9倍違いました。

ピアノ、英会話、そろばん、公文、スイミング。近くに何軒あるかは、お住まいの場所でずいぶん違います。その違いは数字に出るのか、文部科学省の最新の調査で調べました。

年中から小学校4年生くらいのお子さんがいるご家庭に向けて書いています。近くに塾や教室が多くない場所にお住まいの方を想定しています。

先に結論です
  • 住んでいる市町村の人口によって、小学生の習い事や塾にかけている額が年間で1.9倍ちがいます
  • ただし、その差がなぜ起きているのかは、データに書かれていません。世帯の年収による差は、それより大きい4.4倍です
  • 近くに教室が少ない場合にできることは、いくつかあります。それぞれ、向いているご家庭とそうでないご家庭があります

歩いて行ける場所に何軒もある方もいれば、車で20分かけないとどこにもない、という方もいます。

私が普段見ているのは中学生ですが、ご家庭に小さいころの話をうかがうと、やっていたのはたいてい「家の近くにあったもの」でした。選んだというより、そこにあったから始めた、という言い方をされる方が多い。

その違いは数字に出るのか。調べてみました。

人口規模で見る

人口が少ない市町村ほど、かけている額が少ない

文部科学省の「子供の学習費調査」は、都道府県別ではなく、住んでいる市町村の人口規模で数字をまとめています。

公立小学校に通うお子さん1人あたり、1年間に学校の外での活動(習い事・塾・通信教育・スポーツなど)にかかった額です。

図1 住んでいる市町村の人口別/1年間にかけた額(公立小学校)
10万人未満
18.5万円
10万〜30万人
23.2万円
30万〜100万人
27.7万円
100万人以上
東京23区
35.5万円
全国平均
25.6万円
いちばん少ない層と、いちばん多い層で 約1.9倍

月にならすと、約1.5万円と約3.0万円の違いになります。

途中で頭打ちになっていないところがポイントで、人口が多くなるほど、きれいに増えていきます。調査の本文にも、どの学校種でも人口規模が大きくなるほど学校外活動費が多い傾向がある、と書かれています。幼稚園でも中学校でも同じです。

出典 文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」調査結果の概要 表3(人口規模別にみた学習費総額)/公立小学校・学校外活動費
令和8年1月16日 差替版
https://www.mext.go.jp/content/20260116-mxt_chousa01-000039333_3.pdf
この調査は令和6年12月に公表されたあと、令和8年1月に数値が訂正されています。この記事では訂正後の数字を使っています。訂正前の数字を載せている記事もあるので、他の記事と見比べる際はご注意ください。
もう一つの数字

理由までは書かれていません

この差がなぜ起きているのか、調査には書かれていません。

近くに教室が少ないから使えなかった、という説明は、もっともらしく聞こえます。私自身、そう言いたくなります。

ただ、同じ調査に、もう1つ別の数字があります。世帯の年収別に見た、塾や通信教育、家庭学習などにかけた額です。

図2 世帯の年間収入別/1年間にかけた額(公立小学校・補助学習費)
400万円未満
5.9万円
600万〜800万円
8.4万円
800万〜1,000万円
12.4万円
1,200万円以上
26.1万円
いちばん低い層と、いちばん高い層で 約4.4倍

図1と同じ縮尺で並べています。人口規模による差(1.9倍)より、こちらのほうが大きく開いています。

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人口の多い地域は、世帯の収入も高い傾向があります。だとすれば、さきほどの1.9倍は、教室の数ではなく家計の差を見ているだけかもしれません。どちらがどれだけ効いているのかは、この数字からは分かりません。両方かもしれない。

「近くにないから選べない」と言い切りたくなりますが、それは私の考えであって、データが言っていることではありません。
出典 同調査 表10-2(世帯の年間収入別、学校種別補助学習費)/公立小学校
「補助学習費」とは、塾・通信教育・家庭教師・家庭学習用の教材などにかけた費用の合計です。習い事やスポーツは含まれません。
ここでは、調べて分かったことと、自分の考えを分けて書くようにしています。 Prelude について
そもそも何割か

塾に通っているのは、思っているより少ない

公立小学校のご家庭のうち、1年間で塾代を1円も払っていない家庭が61.0%でした。10軒のうち6軒です。

通信教育や家庭教師の費用を1円も払っていない家庭も、61.4%。こちらもほぼ同じです。

塾も通信教育も、使っているのはそれぞれ4割弱。「まわりはみんな何かやらせている」という感覚があるかもしれませんが、全国の平均ではそうなっていません。

この数字は「お金を払ったかどうか」で数えているので、無料の教室や、学校の補習は入っていません。

出典 同調査 表8-1(通信教育・家庭教師費の金額分布)、表8-2(学習塾費の金額分布)/公立小学校
考えられる選択肢

近くに教室が少ない場合、何ができるか

ここからは、データではなく、考えられる選択肢の話です。どれが良いという話ではなく、ご家庭によって向き不向きがあります。

通信教材を使う
向いている場合

場所を選びません。費用も、塾に通うより抑えられることが多い。決まった曜日に出かける必要がないので、送り迎えが難しいご家庭にも合います。自分のペースで進められます。

向かない場合

続けられるかどうかが、本人とご家庭にかかってきます。教材が届いても手をつけないまま、という話はよく聞きます。つまずいたときに、その場で聞ける相手がいません。

家庭で見る
向いている場合

費用がかかりません。どこでつまずいているかが、いちばん近くで分かります。1日10分でも、毎日続けられるご家庭なら効果があります。

向かない場合

時間がかかります。そして、親子だと感情が入りやすい。「なんで分からないの」が出てしまうと、勉強そのものが嫌いになることがあります。中学生を見ていて、小学校時代の話としていちばん多く聞くのがこれです。

近くにあるもので続ける
向いている場合

通えます。続けやすく、送り迎えの負担も小さい。本人が楽しんでいるなら、それ以上のものはありません。

向かない場合

合っているかどうかを確かめる機会がありません。他に選択肢があったかどうかも分からないまま、6年間が過ぎることがあります。

しばらく何もしない
向いている場合

時間が空きます。外で遊ぶ、家で過ごす、本を読む。その時間が減りません。本人がやりたいと言い出すまで待つ、という考え方もあります。

向かない場合

何かを始めるきっかけが、外から来ません。気づいたら学年が上がっている、ということはあります。

で、どうしますか

今そうなっているのは、選んだ結果でしょうか

どれがいいかは、私には分かりません。お子さんの性格も、ご家庭の状況も、どこまでを目指すかも違います。同じやり方で、うまくいく子と、そうでない子がいます。

近くにあったから始めた。まわりがやっていたから始めた。それも立派な理由です。ただ、一度始めると、たいていそのまま続きます。小学校のあいだ、見直す場面がどこにもないからです。

この記事で分かったこと
  • 住んでいる市町村の人口で、1.9倍の差がある。人口が多いほど、きれいに増えていきます。
  • ただし、その理由は書かれていない。世帯年収による差は4.4倍で、そちらのほうが大きい。
  • 塾も通信教育も、使っているのは4割弱。全国の平均では、半分以上の家庭が何も払っていません。
  • 近くにない場合の選択肢は、4つ考えられる。どれにも、向いているご家庭とそうでないご家庭があります。
補足

お金が動きはじめるのは、小学4年生から

学年別に、塾代だけを取り出すとこうなります。公立小学校の平均です。

図3 学年別の塾代(公立小学校・1年間)
3.2万
3.5万
4.6万
8.1万
10.7万
14.5万
1年2年3年4年5年6年

3年生までは、ほとんど動いていません。

1年生から3年生までは、ほとんど動きません。跳ねるのは4年生で、3年生の1.75倍になります。

小学3年生くらいまでは、まだほとんどのご家庭が動いていない時期だということです。

出典 同調査 表6(学年別補助学習費)/公立小学校・学習塾費

小学5年生から先のこと

小学5年生から高校3年生までは、ラーニングPM で見ています。ここで書いているのは、その手前の時間の話です。中学3年生まで見てきたからこそ、もっと前に何があったのかが気になっています。

この記事で使ったデータについて
  • 文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」(調査実施期間:令和5年4月1日〜令和6年3月31日)
  • 令和6年12月25日公表資料の訂正版(令和8年1月16日差替)を使用しています
  • 数字はすべて公立小学校のものです(調査実施405校/集計対象6,627人)
  • 各表の所在は、本文中の出典欄に記載しています
  • いずれも平均値であり、個々のご家庭に当てはまるものではありません
調査結果ページ:文部科学省 令和5年度子供の学習費調査
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