期末テストの見直しは、いつやるか。
週に2日、曜日を先に決めました。
期末テストの見直しを、いつ始めるか。この記事は、テストの数日前にノートを一気に読み返していた中学2年生の、歴史の話です。見直しを、学校の授業が進むたびに、週に2日、曜日を決めて回す形に変えました。テストの点は約60点から、80点を超える点が続くようになりました。
中学生のお子さんがいるご家庭に向けて書いています。
- 見直し
- テストの数日前に、ノートを一気に斜め読み
- 問題
- テスト本番だけ
- 点数
- 約60点平均50点前後
- 見直し
- 学校の授業が進むたびに、週2日
- 問題
- できなかった問題だけを、聞き方を変えて出し直す
- 点数
- 80点以上が続く平均50〜60点
テストの数日前に、ノートを一気に読んでいた
その子の学校は、指定のワークがなく、テストの前に先生から問題集が配られることもない学校です。手元にあるのは、授業のノートだけでした。問題を解くのは、テスト本番だけです。
ノートはとりためたまま、テストの数日前に範囲を一気にさかのぼって、斜めに読んでテストに臨んでいました。
本人には、本人なりの理由がありました。
「ちびちびやっていると、流れがつかめない。テストの直前に、かたまりで一気に把握したい」
だから、ノートはわざととりためておき、見直すのはテストの直前だけ、と決めていたそうです。
歴史の点数は、だいたい60点でした。平均点が50点前後のテストなので、平均よりは取れています。
保護者の方と本人で、困っていたことが違った
保護者の方からは、一夜漬けのように見えるので、どうにかしてほしいと相談を受けました。
本人が困っていたことは、3つありました。
見直しを、学校の授業が進むたびに回す
最初に、市販の問題集を1冊用意しました。学校の授業が進んだら、その範囲だけを本人が解き、自分で丸をつけて送ってもらいます。
送られてきたものを、できていたところと、できていなかったところに分けます。できなかったところだけを、聞き方を変えた問題にして、プリントで返します。たとえば用語を答える問題なら、その用語について聞く記述の問題にします。
※ 聞き方の違いを見せるための例です。この生徒のプリントではありません。
この子の社会は、このプリントだけで進めました。
テストの直前に対策をするより、普段からジョギングで走っている感じに変えた、というのがいちばん近いと思います。
週に2日、曜日を決めて、15問ずつ
プリントは、1週間に2回分です。2回分には同じ問題が入っていますが、聞き方や形式を変えてあります。決めた曜日に1回分ずつ解き、終わったら提出します。
1回分は15問で固定し、長くても30分で終わるようにしました。学校が忙しく、部活もハードだったためです。
日曜日に、次の週の2回分を作ります。材料は3つです。学校で新しく進んだ範囲を問題集で解いた結果と、その週の2回分のプリントでできなかったところ。この3つを混ぜて、次の週のプリントにします。
残っていくのは、できなかったところだけです。気づくと、範囲を何周もしています。
- 1学校の授業が進むその範囲を問題集で解き、丸をつけて送る
- 2本人が決めた曜日(1日目)プリント1回分(15問・30分まで)
- 32日以上あける
- 4本人が決めた曜日(2日目)プリント1回分(同じ問題を、聞き方や形式を変えたもの)→ 提出
- 5日曜次の週の2回分を作る(新しい範囲の結果 + 2回分でできなかったところ)
一度できたところも、時間をおいて、またプリントに戻ってくるようにしています。1週間後に戻り、次は2週間後、という間隔です。
できなかったところには、プリントのほかに、まとめも渡しています。学校の授業と同じ流れで、別の見方から説明し直したものです。
曜日は本人が決め、間は2日以上空ける
週に2日という仕組みは、私が提案しました。何曜日にするかは、本人が決めています。部活の都合を分かっているのは本人ですし、自分で決めた曜日なら、守る責任も本人に生まれるからです。
その代わり、1つだけ条件をつけました。連日にせず、最低でも2日は空けることです。連日だと、前の日にやった内容をまだ覚えています。翌日に解けても、身についていたのか、たまたま覚えていただけなのかが分かりません。だから、わざと間を空けています。
1回目
2回目
分ができる
※ 曜日は例です。この生徒が決めた曜日ではありません。
テストの直前は、まとめを閉じて、自分で説明する
テストの数日前にやることも変わりました。プリントでできなかったところのうち、どうしても覚えられないところや、理解できないところだけを、私に聞くか、自分で見直します。
そのうえで、できなかったところだけをまとめたものを見て、閉じて、自分で説明できるようになるまで思い出す。これを繰り返したそうです。
次のテストから、80点を超えた
80点を超えたのは、このやり方に変えた次のテストからです。平均点が50〜60点を行き来するテストで、80点以上が続いています。模試でも、社会の歴史の部分は高い点が取れるようになりました。評定も上がったそうです。
始めたのは1年前で、今も続いています。
本人と保護者の方の言葉
本人は、問題がプリントで出てくることと、できていないところだけがまとまっていることに感動したそうで、真面目に取り組んでくれました。
最初に話していた「ちびちびやると流れがつかめない」は、やってみてどうだったか。本人の言葉では、ちびちびどころか、できていないところだけを、ちょうどいいタイミングで攻略できているのがうれしい、とのことでした。
本人が挙げた良かったことは、3つです。
- 問題が手に入った
- 違う聞き方をされても、答えられるようになった
- いろいろな方向から歴史を見られるようになって、忘れにくくなった
見返すときも、自分ができていなかったところだけがまとまっています。授業のノートには全部が書いてあり、できていないところは、渡したプリントで補える、と話していました。
保護者の方は、どう改善したのかは分からないけれど、毎日机に向かって社会をやったり見直したりする姿を見て安心した、と話してくださいました。
何も見ずに思い出すと、1週間後に残る
大学生が文章を覚えた実験では、4回読んだ人は1週間後に40%、1回読んで3回書き出した人は61%を覚えていました(Roediger & Karpicke, 2006, 実験2)。同じ論文の実験1では、5分後はもう一度読んだほうが多く覚えていて(81%と75%)、2日後(54%と68%)と1週間後(42%と56%)は逆になりました。
すぐあとに確かめると、読み直しただけでもよく覚えているように見える、という結果です。連日にせず2日空ける、という条件と同じ向きです。
テストまでが長いほど、見直しの間隔も長いほうがよかった
1,354人が32の事実を覚え、間隔をあけて1回見直し、決まった日数をおいてテストを受けた実験です(Cepeda ほか, 2008)。テストまでが長いほど、ちょうどよい見直しの間隔も長くなりました。
| 見直しから テストまで | 実験の中で いちばんよかった間隔 | 同じ日に見直したときと 比べた、思い出せた量 |
|---|---|---|
| 7日 | 1日 | 1.1倍 |
| 35日 | 11日 | 1.6倍 |
| 70日 | 21日 | 2.1倍 |
| 350日 | 21日 | 1.8倍 |
論文は、間隔が長すぎるときの損は、短すぎるときの損よりずっと小さいとまとめています。論文の要旨は、ちょうどよい間隔を、テストまでの日数に対する割合で見ると、1週間先のテストで約20〜40%、1年先のテストで約5〜10%とまとめています。表の35日の行では、実験の中でいちばんよかった間隔は11日でした。1週間後に戻し、次は2週間後に戻す間隔は、この11日をはさむ長さです。テストがもっと先になるほど、間隔も長くしてよいことになります。
できなかったものを、日をあけて思い出し直す
大学生が心理学の用語の意味を覚えた実験から、最初は何も見ずに3回正しく言えるまで練習し、そのあと日を大きくあけた見直しを3回、毎回1回正しく言えるまでくり返す、という目安が勧められています。見直しを4回以上にしても、かけた時間に見合わなかったとされています(Rawson & Dunlosky, 2011)。大学の授業でも、この方法で練習した内容は試験の点が高くなりました(Rawson ほか, 2013)。できなかったところだけを、日をあけて出し直し、できたところも間をあけて戻すプリントは、このくり返しの形に近いものです。
新しい範囲と、前の範囲を混ぜる
大学生が数学の問題を練習し、1週間後にテストを受けた実験では、種類ごとにまとめて練習したほうが練習中の正答率は高く(89%と60%)、1週間後のテストでは逆になりました(20%と63%。Rohrer & Taylor, 2007, 実験2)。日曜に、新しい範囲と前の週のできなかったところを混ぜてプリントにするのは、混ぜて練習する形です。
研究とずれるところ
- 実験の多くは、大学生や大人が参加したものです。中学生を対象に同じ形で確かめた研究は、多くありません。
- 覚えたものは、文章・事実・単語や用語・数学の問題で、歴史の記述の問題で確かめたものではありません。
- 数学の実験(Rohrer & Taylor, 2007, 実験2)は、参加者が18人の小さな実験です。
- 「3回」「1回」の目安も、ちょうどよい回数は内容や人によって違いうると、同じ著者たちが書いています(Rawson & Dunlosky, 2022)。
確かめられていないこと
期末まで3週間でも、今から始める
期末テストまで3週間しかなくても、今から始めるべきだと考えています。まず、いつやるかを決めるところからです。
学校のワークがある場合は、ワークで同じことをします。自分で、できた問題とできなかった問題に振り分けて、できなかったところだけを重点的にやり直す。それしかないと思っています。
ただ、その振り分けが自分でできていないから、私が入っている、というのが実際のところです。
お子さんの様子と、ここに書いたことが違うと感じたら、知らせてもらえるとありがたいです。
見直しの曜日を、2つ決める
家でひとつだけ決めるなら、ここです。
- 見直しの曜日を、週に2つ。決めるのは本人
- 2つの曜日のあいだは、2日以上空ける
- ワークの問題に、できた・できなかったの印をつけ、決めた曜日には、できなかった問題だけをやり直す
この記事の生徒は、1回15問・長くても30分まででした。
- できれば分からないのが何かを特定する
- 難しければ曜日を守れているか・できなかった問題の数が減っているか
- あとは本人に説明してもらう
親が見るなら、できれば、お子さんが分からないのが何かを特定できるといいと思います。難しければ、決めた曜日を守れているか、できなかった問題の数が減っているかを見てください。あとは、本人に説明してもらうことです。
期末テストの日と範囲を入れると、範囲ごとに1回目の見直しをいつにするかを、間隔と記憶の研究から計算して、予定表にする道具を置いています。出た日が、決めた曜日と合わないときは、後ろの曜日に動かしてください。間隔は、長めにずれるほうが、短めにずれるより損が小さいとされています。
見直しは、テストの日より先に、曜日で決める
- テストの数日前に一気に見返していた歴史を、学校の授業が進むたびに週2日回す形に変えると、約60点から、80点を超える点が続くようになりました
- 曜日は本人が決め、間は2日以上空ける。できなかったところだけを聞き方を変えて出し直し、できたところも1週間後・次は2週間後に戻す
- 期末まで3週間でも、今から、いつやるかを決めるところから始める
できなかったところを、日をあけて確かめています
どこができていないかは、お子さんごとに違います。まずは無料相談で、いまどこでつまずいているかを、一緒に確認しませんか。指導をお受けするかどうかは、そのあとで決めていただいて構いません。
- Roediger, H. L., III, & Karpicke, J. D. (2006). Test-enhanced learning: Taking memory tests improves long-term retention. Psychological Science, 17(3), 249–255. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2006.01693.x
- Cepeda, N. J., Vul, E., Rohrer, D., Wixted, J. T., & Pashler, H. (2008). Spacing effects in learning: A temporal ridgeline of optimal retention. Psychological Science, 19(11), 1095–1102. https://doi.org/10.1111/j.1467-9280.2008.02209.x
- Rohrer, D., & Taylor, K. (2007). The shuffling of mathematics problems improves learning. Instructional Science, 35, 481–498. https://doi.org/10.1007/s11251-007-9015-8
- Rawson, K. A., & Dunlosky, J. (2011). Optimizing schedules of retrieval practice for durable and efficient learning: How much is enough? Journal of Experimental Psychology: General, 140(3), 283–302. https://doi.org/10.1037/a0023956
- Rawson, K. A., Dunlosky, J., & Sciartelli, S. M. (2013). The power of successive relearning: Improving performance on course exams and long-term retention. Educational Psychology Review, 25(4), 523–548. https://doi.org/10.1007/s10648-013-9240-4
- Rawson, K. A., & Dunlosky, J. (2022). Successive relearning: An underexplored but potent technique for obtaining and maintaining knowledge. Current Directions in Psychological Science, 31(4), 362–368. https://doi.org/10.1177/09637214221100484
- この記事の生徒の話は、掲載について保護者の了承を得たうえで、個人が特定されないように書いています。点数の変化は、この生徒の定期テストの結果です。
